「わからないということがわかった。だから、やってみようと思ったんです。」
会場はなごやかな笑みに包まれました。
スクールMARIKO第3回のゲストは、小規模発電所を地域ごとに置き、電力の地産地消を進める会津電力の副社長、山田純さんをお迎えしました。
山田さんは今まで通信/半導体の世界を歩いてこられ、前職では同分野をリードする企業の日本法人の社長を務められた方です。世界を相手に戦ってきたビジネスマンの話がうかがえる機会!ということで、個人的にもとても興味のある方の登壇となりました。
そんな企業マンをイメージしていたのですが、目の前に現れた山田さんはまなざしは優しく、物腰の柔らかい、とても人当たりの良さそうな方でした。
山田さんたちは東京電力福島第一原発の事故のあと、大きな発電所で遠くの消費地に電気を流す今の仕組みに疑問を抱き、もし小さな発電所が作った電気を近くの利用者に届けたならどうなるだろうと考えはじめたそうです。
コスト面や安全性などどちらが良いか。得か損か。人に尋ねてもわからない。事例を求めようにもだれもやっていない。わからない。
そして文頭の言葉に続きます。
「わからないということがわかった。だから、やってみようと思ったんです。」
向こう見ずというのは会津人の伝統にあるのでしょうか。
人のやってないことにチャレンジする姿は、様々な場面で見知ってきた偉人達とも重なります。
さらに山田さんたちは考えます。作り出した電気を使って地域の産業を興せないか、ワイナリーを造るのはどうだろう。
「人がいて土地があってエネルギーがある。なんとかなるだろう、やってみよう」(!)
ぶどうを育てることから始めて、収穫、醸造、出荷と顧客を巻き込んでの参加型のビジネスを企画します。
震災を目の当たりにした時、「何かをしたいという気持ちがあって、そちらに進むことの方が意義があり、また楽しそうだったから。」
山田さんはやさしい笑顔で語ってくださいました。
質問コーナーではいつもより多くの質問が。これも山田さんの人柄でしょうか。
会津電力の事業、売電、融資、収支、雇用のこと。バイオマスのことなども。もっと聞きたい、うかがってみたいという皆さんの気持ちがとても伝わってきました。
「...な電気を販売したら買ってくださいますか?」「買います、ぜひ」
スクまりのエンディングはいつも和やかな雰囲気なのですが、今回は一層和やかなエンディングとなりました。
およそマーケティング的な裏付けや確信の無いまま、逆に自分たちの好きなように楽しみながら起業されている姿に圧倒されるとともに羨ましく思いました。
その姿から、どんな時も前をむいて歩いていく、そんな力をもらったような気がします。
会津電力の興した地産地消のビジネスがたくさんの実をつけますことを期待とともに願っています。
スタッフわかつき