スクまり2017第3回〜鴻巣麻里香さんをお招きして〜
平成29年11月4日(土)に今年最後のスクールMARIKO第3回をカラコロ工房地下大金庫室にて行いました。最初に予定していた9月17日は台風のため延期になり、突然の開催となりましたが、ありがたいことに多くのお客さんが集まってくださいました。
今回は、「みんなのおいしい居場所〜こども食堂“子供の今、子供の未来”〜」と題して、福島県白河市よりKAKECOMIの鴻巣麻里香さんをお招きしました。
鴻巣さんはソーシャルワーカーとして、心をケアする活動に従事され、「カケコミ(=かけこみ寺+コミュニティ)」という地域の居場所作りをされています。
東日本大震災後、鴻巣さんはご自身がSNSで投稿した文章(詩)が大きな反響を呼び、多くの人にシェアされて急速に広まったことに戸惑われたそうです。共感する声もあったけど、中には批判の声もあり、その後、安心して思ったことを声に出せなくなりました。
震災によって、変わったと感じることは、
「安心して思いを伝えられなくなった」
「人の気持ちを考えたり相手の境遇を配慮したり人の痛みを想像する力がなくなった」
「避難するにしてもお金もかかるので、各家庭の経済力が明からさまとなった」
「子供たちは自己肯定感や自尊心を失った」
ことであると。
そして、震災後、鴻巣さんご自身も大病をされた経験もあり、自分は何ができるかと考えた末、
「子供のために何かしたい!」
→「自分が子供の時は何をしてもらいたかったっけ?」
→「そうだ、居場所が欲しかった」
→「子供の居場所作りをしよう!」
→「さらにそこでおいしいものを食べられたらいいな、勉強も教えてもらえるといいな」
と、考え、「たべまな(たべよう、まなぼう)こども食堂」を始められました。
強調されたのが、こども食堂は決して貧困対策ではない!ということ。こども食堂は、「生きづらさを抱え孤立し、関係性が損なわれた子供たちの居場所である」と。そうでないと、子供たちは堂々と食堂へ来ることができなくなっちゃうから。それに、週一回開かれている食堂が貧困対策になり得るはずがないのだから。
「たべまな」では、子供たちの自尊心を育てるために、子供がそこで貢献できるようにしているそうです。料理でも皿洗いでも勉強を教えることでも、なんでも子供に役割を持たせ、やってもらっているのだそうです。大人は子供の声に耳を傾けるようにし、その子の力を伸ばす場となるように気を配っていると言われました。そこは、すべての子供に開かれた場であり、多種多様な人と繋がることができ、自己肯定感が育まれる場所です、と。その代わり大人はカンパで支援!をお願いされているのだそうです。
鴻巣さんがこれからやりたいことは、無償で家を譲ってくれる方がおられるので、そこを改装して、シェアハウスを作りたい!とのこと。子供が困った時にいつでも来れて、そしてちょこっと泊まれて、そういう居場所があるといいな。っと。
お話をされている時の鴻巣さんはキラキラしてて、とても楽しそうでした。鴻巣さんがされていることは、子供たちの居場所作りだけど、それはご自身の居場所作りとも繋がっておられるのだなと感じました。私たちの「スクまり」と同じように。
「スクまり」は私たちにとって大切な居場所です。この輪が広まって、繋がって、スクまりがみんなの居場所となるように、来年も楽しい講座を企画していきたいと思います。今年も一年ありがとうございました。また来年もどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、私たちの大好きな仲間であり大事なスタッフである松本のメッセージを載せておきます。彼は残念ながら10月22日に急逝してしまいました。でも、彼の想いとぬくもりと優しさと温かさと、彼のすべては私たちの心の中で生き続けています。「スクまり」を大事にしていた彼です。私たちもこのつながりを大事にしていきたいと思います。
〜「もしかしたら、あの町が、(わたしたちの住む)この町だったかもしれない」
福島に思いを馳せて、学び始めたころに胸にこみ上げた想いは、いま一層強くなっているように感じます。
「現在(いま)」を、ご一緒に学びながら、これから先、わたしたちが備えるべきこと、わたしたちにできること。そんな気づきの場にしていただけたらと思います。
ご興味の折々に、ぜひ会場にお運びくださいませ。(松本邦弥)〜
-スクマリレター NO11:2017年5月7日発行 より-
スクまりスタッフ 山崎美沙